BLCDサハラの黒鷲 感想

 ちるちるのレビューに書いたものの、転載です。

 

原作未読で聴きました。

熊谷さん演じる黒鷲が本当に素敵でした。
長としての民を想う男らしい声、快楽に身を焦がしながらも精神は譲らない気位の高い受け声、少年時代の繊細なお声、時にオラついた受声、とけまくる受声、恋人関係になってからのぶっきらぼうでいて幸せな声等、本当にどのシーンも良かったです。
BOYSピアス掲載のドラマCD収録レポ漫画に、黒鷲は佐藤さん演じるアルキル以外には攻めと解説が描かれていましたが、そのとおりのお芝居でした。
熊谷さんのお声で、褐色のいい男のあらゆる魅力を味わえて本当に耳が幸せ。


調教師や奴隷商人という設定とアラビアンなBGMがスパイシーで良いですが、実のところはシンプルな王道ストーリーに感じました。
自分では選べない生まれや育ちを受けいれ、懸命にあるいは諦めたように生きる男たちが、お互いを愛することを選ぶという話です。

快楽で肉体的に調教されても心を明け渡さない黒鷲は、彼の民の命や彼の尊厳を救ってくれたアルキルに感謝の品を捧げます。アルキルに本当の名前を教えます。(黒鷲にとって真の名前は命と同等であるゆえに幸せにも不幸にもなるという点が、この物語の肝です)
名前を告げる一連のシーンがとっても良いです。名前を告げる、名前を呼ぶってとても音声化に馴染む話だなぁとしみじみ思います。佐藤さん・熊谷さんのいいお声で聴けて最高です。
民を想う集落の長、愛を見つけ選んだ男、オラつく受、とろとろの受……と、数分の間に熊谷さんのお芝居で説得力ある黒鷲の魅力を味わえます。
展開は早めですが、キャストの皆さまのお芝居が素晴らしいので十分理解できます。
音楽に関する語彙がないのですがアラブ王朝スペクタルって感じのBGMが的確に王道ストーリーを彩っていて好感度大。脳内スクリーンに砂漠の金色と空の青が広がって、二人のボーイズラブを盛り上げてくれます。

公式通販特典のミニドラマCDも、佐藤さんの美声と甘いお芝居にぴったりの話で良かったです。
黒鷲が、アルキルの声で名前を呼ばれると溶けてしまう趣旨の事を言うんです。キャストありきでシナリオを書いてるのかと思うほど、BLCDの幸福が満ち溢れてました。

黒鷲とその民との友情や主従の信頼関係もきちんと描かれていて、よかったです。
榎木さんは爆発的にかわいいし、山下さんの寡黙な側近としての距離感が適切な芝居とイケボに舌を巻きました。
サハラの黒鷲2では、アルキルの過去も描かれているようです。そちらも音声化していただきたいなと思いました。